やだ・・・遅くなっちゃった。もうこんな時間??
そう心でつぶやいて、私は一路家に向かっていた。
特に急いでるわけではないのだが、友達と食事をしていたら日付をまたごうとしていた。
この角を曲がれば、家までの近道なのは知っていたけれど、
私は一度もその道を通ったことがなかった。
それは、こんな噂を聞いたからだ。
近くの踏み切りでずいぶん昔事故があり、はねられた人の
下半身はみつからず、そのまま事故処理は終わってしまった・・・
それ以来、下半身を捜す幽霊がでるんだ。
そう、噂されていた。
足がないから、肘をついて追いかけてくるらしくその音が
コツ、コツ、コツ、コツ・・・と
それでも、その日私は暗闇に手をひかれるように、その角を曲がっていった。
思い返せば、急いでいるわけでもなかったのになぜだろう?
しばらく道を歩いていると、どこからかコツコツ・・・・コツコツ・・・
そう聞こえた気がした。
まさか?噂よね?
そう自分に言いきかせ先を急ぐ。
もう少しすれば家につくはず、だけどいつもより時間がかかっている気がする。
進む歩幅が広くなり、急ぎ足になる。
家が近づくにつれて、音が鮮明に大きくなっている気がする。
コツコツ・・・コツコツ・・・コツコツ・・・コツコツ・・・
間違いない!音がする!!
いや!!焦る心、家に向かって急げば急ぐほど、音はどんどん近づいてくる!!
あの角を曲がれば家が目の前に!!
音はもう耳隣で聞こえる。
振り返ってはダメ!!そう自分に言いきかせ家の敷地に入ると
急に
「おかえり!!」
「ぎゃー!!!!」
「お父さん!!こんな時間になにしてるの??」
「ああ、すまん。ほらここ」
そう指をさした所に、氷の塊が
「屋根からの雪が溶けて、落ちたやつがかたまってアイスバーンになっちゃって。
だから、いま鉄スコップで割っていたんだ」
「近所迷惑よ、もうやめなよ」
「そうだな、ここだけにしてやめるよ」
そんな父との会話のせいか、気がつくと音は止んでいた。
安心して玄関をくぐりドアを閉めると、
コツコツコツ・・・コツコツコツ・・・
先ほどより遠慮がちに聞こえてくる。
まさか!?!?と思いドアを急いで開けるとそこには・・・
鉄のスコップをもった父の姿があった。
コツコツコツそう音を立ててアイスバーンを砕く父の後ろ姿が・・・
おしまい。
と、言うわけで今更ですが雪がふりましたね。
この冬、一番冬らしい雪だったんではないでしょうか?
仕事先の駐車場もアイスバーンになり、地道にコツコツコツコツ砕いていましたよ。
それで、久しぶりに骨、骨を思い出しました。
ワタクシは一人写真を撮っていましたがね~
雪穴
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